レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)は、「むずむず脚症候群」「下肢静止不能症候群」とも呼ばれ、主に下肢に不快な症状を感じる病気です。夜眠ろうとベッドに入ったときや、映画館などでじっと座っているときに、脚の内側から不快感が起こり、脚を動かすと和らぐ・・・といった特徴があります。「レストレス(restless)」とは「そわそわした」、「絶え間なく動く」という意味があります。
日本での調査では、レストレスレッグス症候群の患者さんは人口の2%~4%と言われています。
患者さんは布団の中でじっとしていることができず、眠くても眠りにつくことができません。何とか寝付けたとしても、睡眠が浅く、十分に眠れません。このため、不眠だけでなく、日中の過眠も出現します。
【レストレスレッグス症候群の原因は?】
①神経細胞の異常
脳の中で神経どうしの連絡役となっている物質「ドパミン」がうまく働かなくなることによって、症状が現れるという説が有力です。
②鉄分を含めたミネラル不足
鉄分は、体内でドパミンを作るのに使われています。鉄分が不足するとドパミンの量が減少し、情報伝達がうまくいかなくなると考えられています。マグネシウムも関与している可能性もあります。
③遺伝
レストレスレッグス症候群は、同じ家族や親族の中でかかりやすいとの研究結果があります。2000年以降に遺伝子の研究が急速に進み、この病気に関係する遺伝子がいくつか見つかっています。
【4つの特徴的な自覚症状】
レストレスレッグスの症状には、4つの特徴的な自覚症状があり、これらにあてはまる場合は、レストレスレッグス症候群の可能性があります。
①脚をじっとしていられない異常感覚
不愉快な異常感覚が足に、特にふくらはぎに最もよく現われます。この異常感覚は”びりびりする”、”焼ける”、”中で水が動くような”、”虫が這うような”、”痛い”、”掴まれる”などと表現されます。さらにこの異常感覚とともに「からだを動かすように駆り立てられる気持ち」に襲われ脚をじっとしていられなくなります。
②運動による症状の緩和
「動かすように駆り立てられる気持ち」を和らげるために通常はその場を歩き回ることになりますが、からだを揺すったり、震わせたり、曲げたり、伸びをしたり、足踏みをしたりする場合もあります。これらの運動は症状を和らげるために自分の意思で行なっているので、自分で運動を止めることができます。したがって、ひとりでに動くわけではありません。
③休息・休憩による症状の悪化
レストレスレッグス症候群に最も特徴的なのは、症状が安静・休憩により誘発されることです。それは就寝時でも静かに起きているときでも認められます。多くはリラックスしてから数分後、ときには1時間後に症状が始まります。電車や飛行機に乗ることに苦痛を感じる場合もあります。
④日内リズム
「異常感覚」と「動かすように駆り立てられる気持ち」はほとんどの場合夕方から夜間に現われます。これらの症状は通常は昼間には強くありません。
【レストレスレッグス症候群の非薬物治療】
①原因となる基礎疾患があればそちらの治療
②鉄分やミネラルの補給
鉄分不足の場合には、鉄剤を服用します。
女性は月経により鉄分不足になることが多いです。鉄分の多い食物を摂るようにしましょう。
③カフェイン・アルコール・喫煙を控える
コーヒーやお茶などに含まれるカフェインは、レストレスレッグス症候群の症状を悪化させ、さらに鉄分の吸収を妨げるため、カフェインを過剰摂取しないようにします。
アルコール、喫煙もレストレスレッグス症候群の症状を悪化させますので、できるだけ控えるようにします。
④睡眠衛生の改善
規則的な就寝・起床を心がけます。
就寝前に短時間歩いたり、脚のマッサージは良いとされています。
【レストレスレッグス症候群の薬物治療】
ドパミンアゴニスト(弱くなったドパミン神経の働きを補う)
抗けいれん薬(神経の興奮を抑え、症状を抑える)
腎臓のご病気などの身体疾患がなければ当院でも対応可能です。ご相談下さい。