「仕事に行こうとすると体が重い」「ミスが続いて自信を失ってしまった」「人間関係に疲れ果ててしまった」……。
日々の仕事の中で、ふとした瞬間に「もう限界かもしれない」と心が折れそうになることは、誰にでも起こり得ることです。それはあなたが弱いからではなく、これまで一生懸命に走り続けてきた証でもあります。
今回は、心が折れそうなときに試してほしい、自分をいたわるための対処法をご紹介します。
1. まずは「今の状態」をそのまま認める
心が折れそうなとき、多くの人が「もっと頑張らなきゃ」「こんなことでへこたれてはいけない」と自分を叱咤激励してしまいがちです。しかし、無理なポジティブ思考はかえって心を追い詰めます。
まずは「今、自分はとても辛いんだな」「限界まで頑張ったんだな」と、自分の状況を客観的に認めてあげましょう。これだけで、脳の興奮状態が少し和らぐ効果があります。
2. 物理的に「仕事」から距離を置く
心が疲弊しているときは、思考が堂々巡りになりがちです。短時間でも良いので、強制的に環境を変えてみましょう。
- 5分間のデジタルデトックス: スマホやPCから離れ、外の景色を眺める。
- 深呼吸を取り入れる: 鼻から吸って、口からゆっくり吐き出す。自律神経のバランスを整える最も簡単な方法です。
- 「とりあえず」帰宅する: 可能であれば残業を切り上げ、仕事とは無関係な場所(カフェ、公園、自宅の布団など)へ移動しましょう。
3. 「コントロールできること」だけに集中する
心が折れる原因の多くは、自分ではどうにもできない「他人の評価」や「終わりの見えないタスク量」にあります。
不安に飲み込まれそうなときは「今、この瞬間、自分にできる小さなこと」だけに焦点を当ててみてください。
- 「とりあえずメールを1通だけ返す」
- 「机の上を片付ける」
- 「今日のご飯を何にするか決める」 このようにハードルを極限まで下げることで、無力感から抜け出すきっかけをつかめます。
4. 睡眠と食事を優先する
「心の悩み」は、実は「体の疲れ」から来ていることが少なくありません。 睡眠不足や栄養の偏りは、ストレス耐性を著しく低下させます。
- いつもより1時間早く寝る
- 温かい飲み物を飲む
- 栄養のあるものを一口でも食べる
「解決策を考える」のは、しっかり休んでエネルギーが回復してからで大丈夫です。
5. 専門家を頼ることは「戦略的な休息」
もし、以下のような症状が2週間以上続いている場合は、一人で抱え込まずに専門の医療機関へ相談することをおすすめします。
- 夜眠れない、または途中で目が覚める
- 食欲がわかない、あるいは過食してしまう
- 以前楽しめていた趣味に興味が持てない
- 常に不安や焦燥感がある
クリニックを受診することは、決して「逃げ」ではありません。
大切な自分を守り、また前を向くための「戦略的なケア」です。
おわりに
仕事は人生の大切な一部ですが、あなたの心と体の健康以上に大切なものはありません。 もし今、暗闇の中にいるような気持ちであれば、どうぞお気軽に当院へご相談ください。お話を伺い、心が少しでも軽くなるお手伝いをさせていただきます。
文責 院長(医学博士、日本専門医機構認定精神科専門医、認定産業医)
