脳の『自動思考モード』が暴走中? ぐるぐる思考から抜け出すための脳のスイッチ切り替え術

「寝ようとしているのに、昼間の失敗が頭から離れない」「まだ起きてもいない将来の不安が、次から次へと湧いてくる」——こうした、自分の意志に反して考えが止まらなくなる「ぐるぐる思考(反芻思考)」に疲れていませんか?

実はこれ、あなたの性格の問題ではなく、脳内の特定のネットワークが活発になりすぎているサインかもしれません。今回は、脳の「アイドリング状態」とも呼ばれるDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の観点から、ぐるぐる思考の正体と対処法を解説します。

① ぐるぐる思考の正体は、脳の「アイドリング」?

私たちの脳は、何かに集中しているとき以外でも、常にエネルギーを消費しています。この「何もしていないときに活動している脳のネットワーク」をDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と呼びます。

DMNは、過去の記憶を整理したり、未来のシミュレーションをしたりする、いわば脳の「オートパイロット(自動操縦)機能」です。本来は大切な役割を担っていますが、活動が過剰になると、過去の嫌な記憶や不安な未来を何度も自動的に再生してしまいます。これが「ぐるぐる思考」の正体です。

② なぜ「ぐるぐる」は止まらなくなるのか

通常、脳は「DMN(内省モード)」と「中央実行ネットワーク(集中モード)」を、車のギアのように切り替えています。しかし、ストレスや疲労が溜まると、この切り替えがうまくいかなくなります。

ニュートラル(アイドリング)の状態のまま、エンジンが空ぶかしを続けているようなもの。エネルギーを激しく消耗し、脳はどんどん疲弊していきます。

③ 脳のスイッチを切り替える4つのヒント

DMNの暴走を抑え、ぐるぐる思考から抜け出すには「今、ここ」に意識を向けることが有効です。

1. 「五感」に意識を向ける 今見えている色、聞こえる音、足の裏の感覚などに注意を向けてみましょう。脳のモードが「内省(DMN)」から「感覚・集中」へと切り替わります。

2. ラベリング(実況中継) 「あ、今自分は不安を感じているな」「またぐるぐる考えているな」と、自分の状態を客観的に言葉にしてみましょう。

3. マインドフルネス呼吸法 1分間だけで構いません。呼吸の出入りだけに集中します。意識が逸れたら、また静かに呼吸に戻す。この練習が、脳の切り替えスイッチを鍛えてくれます。

4. 時間割を設定する。 20分程度のぐるぐるタイムを設定する。あるいは、他のタスクをしちゃう。

ぐるぐる思考でしんどい夜の話

④ 専門的なケアが必要なとき

「どうしても思考が止まらず、日常生活や睡眠に支障が出ている」という場合、それは脳が発しているSOSかもしれません。うつ病や不安障害などが背景にある場合、脳のネットワーク調整には専門的な治療——薬物療法やカウンセリング、認知行動療法など——が大きな助けになります。一人で抱え込まず、専門家に相談することも選択肢のひとつです。

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