はじめに:突然襲ってくる死のような恐怖、それはパニック発作かもしれません
「急に心臓がバクバクして息ができなくなった」「このまま死んでしまうのでは」
そう感じた経験はありませんか?
パニック発作は、突然現れる激しい不安や身体症状の発作です。数分でピークに達し、10〜30分程度で自然におさまりますが、発作中の恐怖は非常に強烈です。
この記事では、パニック発作を経験した方や不安を感じている方に向けて、すぐに使える33の対処法を、専門的知見をもとにご紹介します。
パニック発作とは?どのような症状が起こるのか
主な身体症状
- 強い動悸や心拍数の上昇
- 息苦しさ、息が詰まる感じ
- 胸の圧迫感や痛み
- めまい、ふらつき
- 手足のしびれや震え
- 大量の発汗、悪寒やほてり
主な精神症状
- 「このまま死んでしまうかも」という恐怖
- 自分が自分でないように感じる(離人感)
- 現実感がなくなる(非現実感)
- 意識や自制が失われそうな感覚
パニック発作はなぜ起こるのか?
パニック発作は、交感神経の過剰な働きや、脳内の神経伝達物質の乱れ(セロトニン・ノルアドレナリンなど)が関係しているとされています。性格や気の持ちようだけではなく、生理学的な背景がある症状です。
パニック発作の即効性のある対処法33選
1. 呼吸を整える方法(呼吸法)
- 4-7-8呼吸法(4秒吸って7秒止めて8秒吐く)
- 腹式呼吸(お腹を膨らませて深くゆっくり)
- 箱呼吸法(4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める)
- ストロー呼吸(細く長く吐く)
- 片鼻呼吸(交互に鼻で呼吸)
- 数息観(呼吸を数えながら集中)
- 紙袋呼吸法(過呼吸のときに限る、しかし紙袋を持っていない事が多い)
2. 身体を落ち着かせる感覚刺激
- 冷たい水で顔を洗う
- 冷たいペットボトルや氷を握る
- 首の後ろを冷やす(保冷剤など)
- 漸進的筋弛緩法(筋肉を緊張→弛緩)
- 5-4-3-2-1テクニック(五感に意識を向ける)
- 指圧(手首内側など)
- ゆっくり歩く
- 姿勢を正す
- 温かい飲み物をゆっくり飲む
- 足の裏の感覚に集中する
3. 思考の切り替えと自己対話
- 現実確認:「これは命に関わるものではない」
- 過去の成功体験を思い出す:「前も乗り越えた」
- 時間制限を認識する:「数分で収まる」
- 肯定的な言葉を自分にかける:「大丈夫、大丈夫」
- 不安な思考を書き出す
- 思考の歪みに気づく:「最悪の想定になっていないか」
- 数字の逆算(100から3ずつ引くなど)
- しりとりや単語ゲームで気を逸らす
- 周囲の色や形を観察する
- 目の前の音や匂いに集中する
4. 外部刺激・ツールの活用
- 落ち着く音楽を聴く
- アロマを嗅ぐ(ラベンダー・柑橘系など)
- お気に入りの手触りのものに触れる
- 呼吸・瞑想アプリを使う
- 発作対処カードを持ち歩く
- 発作日記をつけて傾向を知る
日常生活でできるパニック発作の予防法
- 睡眠時間と生活リズムを整える
- カフェインやアルコールを控える
- 血糖値が急に上下しないよう、規則正しい食事を
- ウォーキングなど軽い運動を日常に取り入れる
- 毎日5分の深呼吸・瞑想タイムを持つ
- 不安な場面への「段階的な慣れ(曝露練習)」を意識する
パニック障害の治療法について
薬物療法
- SSRI / SNRI(抗うつ薬):神経伝達物質を調整し、発作を抑える
- 抗不安薬
心理療法(認知行動療法)
- 認知の修正:「死ぬと思うのは思い込みである」と気づく
- 曝露療法:不安場面に段階的に慣れる練習
こんなときは、専門医にご相談ください
- 発作が月に複数回あり、生活に支障が出ている
- 外出や仕事に不安が出てきている
- 抑うつ状態や依存的な行動(アルコールなど)がある
- 極度の孤独感がある
まとめ|パニック発作と向き合うあなたへ
パニック発作は命に関わるものではありませんが、その不安は非常に強烈です。
この記事で紹介した即効性のある33の対処法を実践しながら、日常生活の整え方・思考パターンの見直しも進めていきましょう。
ひとりで悩まず、必要であれば医師のサポートを受けながら、発作に振り回されない日常を取り戻すことができます。
当院での対応について
当院メディカルクリニックルナ東京では、パニック発作・パニック障害に対して、専門医による診察・薬物療法などを組み合わせたオーダーメイドの治療をご提案しています。
ご自身の症状に心当たりがある方は、お気軽にご相談ください。
文責 院長(医学博士、日本専門医機構認定精神科専門医、精神保健指定医)