「同じ睡眠薬なのに、なぜこんなに違うの?」

「前に出された睡眠薬と同じ名前のはずなのに、効き方がまるで違う…」——そんなふうに感じたことはありませんか?実は、睡眠薬の「効果の違い」には、成分以外にも個人の体質や飲み方、タイミングなど、さまざまな要因が関係しています。

東京駅近くの心療内科・メディカルクリニックルナ東京では、睡眠薬の選び方や作用の違いについて、医学的な視点でわかりやすくお伝えします。

「同じ睡眠薬なのに、なぜこんなに違うの?」

マイスリーとルネスタが、自然な眠りに近い理由

「睡眠薬って、どれも似たようなものじゃないの?」
そう思っている方にこそ知ってほしい話があります。

実は、睡眠薬には“眠らせ方”に違いがあります。
なかでも、マイスリー(ゾルピデム)やルネスタ(エスゾピクロン)は、「自然な眠り」に近づけてくれるという点で、従来の薬とは一線を画します。

従来のベンゾジアゼピン系は「夢」と「深い眠り」を抑える

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬──ハルシオンやレンドルミンなど──は、脳のGABA-A受容体に作用して眠気を誘発します。

しかしこのタイプの薬は、レム睡眠(夢を見る時間)や深いノンレム睡眠を抑えてしまいがち
そのため、「眠ったはずなのに浅い感じがする」「夢をあまり見なくなった」などの実感を持つ方も少なくありません。

マイスリーやアモバンは「自然な睡眠リズム」に近い

マイスリーやアモバンも同じくGABA-A受容体に作用しますが、選択的に「ω1受容体」に作用します。
この「ω1」は主に鎮静・睡眠効果を司る部分であり、抗不安作用や筋弛緩作用の少ないピュアな眠気を引き出します。

その結果、レム睡眠や深い眠りをあまり抑えないのが特徴。
眠りの質を重視したい人にとっては、より本来の睡眠に近い形を感じる方が多い。

「非ベンゾジアゼピン系」とは?

ここで少し専門的な補足を。
マイスリーやアモバンは、化学構造がベンゾジアゼピンとは異なるため、「非ベンゾジアゼピン系(Z薬)」と呼ばれます。

ただし、作用する場所はベンゾジアゼピンと同じ「GABA-A受容体」です。
このため、ベンゾジアゼピン受容体作動薬という広義の分類には含まれます
構造は違えど、同じ扉を別の鍵で開けているようなイメージですね。

ハルシオンとの違いは「不安」と「夢」に出る

たとえば、ハルシオン(トリアゾラム)はマイスリーと同じく超短時間型。
しかし、こちらはω1だけでなくω2受容体にも作用するため、抗不安作用・筋弛緩作用も併せ持ちます

その反面、レム睡眠を抑えやすく、急に中止すると「夢が増える」「悪夢を見やすい」といった反動が起きやすいのが特徴です。

つまり

  • 不安が強い方にはハルシオンのほうが適していることもある

  • 眠りの質や夢を大事にしたい方にはゾルピデムやエスゾピクロンのほうが自然

このように使い分けが考えられます。

目次

◇まとめ:眠剤は質で選ぶ時代へ

  • 浅い眠りでも不安を和らげたいなら:ハルシオンなどのベンゾ系

  • 自然な睡眠に近づけたいなら:マイスリーやアモバンなどの非ベンゾ系(Z薬)

  • 悪夢が辛いなら:レム睡眠を抑える薬も検討対象

  • 最近流行っているオレキシン系もあり。

眠剤はただ眠らせるだけの薬ではありません。
「どんな睡眠を得たいか」によって、その選択は大きく変わってきます。

医師と相談しながら、自分に合った“眠りのかたち”を見つけていきましょう。

同じ薬でも「合う・合わない」があるのは、あなたの体がきちんと反応している証です。メディカルクリニックルナ東京では、一人ひとりの睡眠の悩みに合わせて、やさしく丁寧に薬の調整や相談を行っています。「薬が効きすぎる」「朝に残る」など気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

執筆:精神科専門医、医学博士

監修:メディカルクリニックルナ東京

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