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『鉄欠乏性うつ』

『鉄欠乏性うつ』

うつ病の一因としての一つに鉄欠乏があります。

不安感や情緒不安定、不眠症にも鉄欠乏が関与している可能性はあります。

つまり鉄欠乏といった栄養素不足は精神面に影響を与えることがあります。

鉄は、神経伝達物質を作る際に必要な酵素を助ける働きをしています。そのために、鉄が不足すると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが必要なときに作られなくなってしまい、うつやパニック障害の症状を引き起こしやすくなるといわれています。また、睡眠に関わるホルモンとしてメラトニンがありますが、メラトニンの合成にも鉄は関与します。

「貧血でない鉄欠乏」

鉄欠乏は、体内の鉄量が減少する事を意味します。 「鉄欠乏性貧血」は「鉄欠乏により、赤血球産生が抑制され、ヘモグロビンの数値が下がる」病態です。「貧血でない鉄欠乏」は「鉄欠乏があるが、赤血球産生は保たれ、ヘモグロビンの数値が正常」な病態です。 違いは鉄欠乏の程度です。それは貯蔵鉄の量と言い換える事ができます。この「貧血でない鉄欠乏」は「潜在性鉄欠乏」と言われることがあります。 「鉄欠乏性貧血」に関しては非常によく知られていますが、「貧血でない鉄欠乏」に関してはまだあまり知られていません。

貯蔵鉄の量は採血の項目である「フェリチン値」でわかります。なかなか精神症状が改善しない患者さんに鉄剤を処方すると精神症状が緩和する方がいらっしゃいます。赤血球量は低くないものの鉄欠乏状態であり精神症状として表れていることもあるようです。

月経を有する女性はほとんどフェリチン値は低いです。もちろん基準値をどこにおくかにもよりますが、日本鉄バイオサイエンス学会の基準に基づいてフェリチン値を25ng/mL以上を目標とすると、多くの女性が足りないのではないでしょうか。妊娠するためにはフェリチン値を40ng/mL以上を目標とする国もあります。

鉄過剰を心配される方もいらっしゃるかもしれません。定期受診してフェリチン値を測定すれば安心だと思います。ただ内服薬の経口鉄剤でフェリチン値が急激に上がることの可能性は低いと思います。

胃酸の分泌が鉄の吸収に影響しますので、胃酸抑制剤を飲まれている方は注意してください。

また、体内に炎症があると鉄の利用が障害されますので、炎症のある方は炎症の治療が優先となると思います。

精神的に不調で、特に冷え性の方、月経前に不調になる方などは、鉄の欠乏についても考えて良いかもしれませんね。